三体の人造人間を倒すことができたZ戦士。
この時代の人造人間は、未来のより弱かったという設定でストーリーは続きます。
19号が16号より強かったのも納得です。
悟空も戦いの舞台に残っており、原作とはかなり異なる展開となりました。
さて、人造人間との戦いの後、何かを感じ取ったピッコロは神様のいる神殿へとやってきました。
そして、神様もまた、新たなる敵の存在を感じ取っていたのです…!
神様「17号たちとたたかうための融合ではない!」
おんや、前回17号たちには勝利できたはずなのですが…。
…もう、エンディングまで残り少しだからでしょうか。
少々、強引に原作通りの話を進めたがっているようにも見えます。
そして、神と大魔王の融合が始まる…!
専用グラフィックもなく、あっさりと融合を終えます。
もうエンディング近いんでね。
監督から「巻きで!」とかカンペでも出ているのでしょう。
ちなみに「信じられんほどのパワーだ!」は、原作では言っていません。
ネイルとの融合で近いセリフを言っていました。
こうして、神コロさまこと新生ピッコロさんが誕生しました。
下界へ降りていくと、人造人間セル 登場!
原作では ピッコロさんが神様ゆずりの演技を駆使して、セルの正体を聞き出す場面です。
が、 ゲームでは会社へ面接に来たリクルート学生のように、すぐ自己紹介を始めてくれます。
無駄のない完璧な紹介文ですね。
このままエントリーシートに載せられそうです。
もう焦っている監督から「もっと巻きで!」のカンペでも出されていたのでしょう。
そして、新生ピッコロ vs 人造人間セル のバトルが始まる!
さあ、融合形態のピッコロはどれほど強くなっているのか!?
残念! ピッコロさんは全く強くなってないです。
ステータスに変化はなく、技にも変化はありません。
融合してレベルが上がった! とか、そんなこともないです。
もうエンディング近(以下略
セルは、とても弱く設定されています。
ザコ敵並です。苦戦すらしません。
セルを倒すか、3ターン経過することでストーリーが自動的に進行します。
終わりまであとわずか。
涙を拭くハンカチのご準備を!!
原作通り セルは太陽拳を放ち、逃げ出します。
そして、セルのシルエットが浮かび、エンディング曲が流れ始めます。
セルは完全体になってしまうのか――
セルを知らない17号たちはどうするのか――
16号の正体は何なのか――
そんな疑問が提起され、セルのシルエットは第2形態へと変化。
悟空の顔が厳しくなり、物語は幕を閉じます……
ドラゴンボールZⅢ 烈戦人造人間
完ッ!
…………
いかがでしたか? 涙を拭くことはできたでしょうか。
きっと泣く暇もなく「えっ、なに、これで終わり?」と、ポカンと呆気にとられたのでははないでしょうか。
ものすンごぃエンディングですね。
清々しいまでの丸投げ感、こんなエンディングのゲームなんて他にあるのでしょうか…。
そもそも最後の悟空の「今度は オラが やる!」とは、どういう意味でしょうか。
自分は原作で心臓病だったため「次にセルと戦うのはオラだ!」ということなのでしょうか。
ゲームのルートによっては、悟空はちゃんと存続できるのですが…。
どうしてこんな中途半端な終わり方になってしまったのか。
実はこのゲームが発売した頃は、DBの連載がまだ続いており、週刊少年ジャンプでもセルがようやく完全体になった頃でした。
ゲームのストーリーが原作に追いついてしまい、少しでも原作の話を取り入れようとした結果、話の落とし所を見失ってしまった感じです…。
そもそもこのゲーム、製作が間に合わなかったと思われる箇所が幾つかあります。
ストーリーは、クウラ編まで比較的丁寧に作られていますが、人造人間編に入ったあとはただ消化試合をこなしていくという感じです。
フィールドにザコ敵も登場しなくなり、ボスから得られる経験値もかなり投げやりな数値に思えます。
ベジータが超サイヤ人にならなかったり、大技を使ってくれないのも気になる点です。
超サイヤ人ベジータの『ビッグバンアタック』と トランクスの『バーニングアタック』は専用グラフィックがあるのに使用してくれません。
これは、二人ともオート戦闘であり、プログラムのAIに『気を練る』と『超サイヤ人変身』を上手く組み込めなかった為かもしれません。
(上の画のように、チートで強引に『KIを練る』とちゃんと大技も使ってくれます)
ベジータは、クウラ(前形態)戦のイベント以外で超サイヤ人に変身しません。
原作で初変身した19号戦でも変身しないのは、かなり違和感があります。
人造人間戦では、ベジータに任意で超サイヤ人化してもらうつもりだったのが、プログラム上 上手く動作しなかったのでしょうか。
また、敵の技『複数エネルギー波』が、単体攻撃なのも気になる所です。
以前、紹介したように味方である悟空の『複数エネルギー波』は、敵全体を攻撃してくれます。
そもそも、複数の弾を撃つ技なのに、相手に当たるのが1発だけというのも違和感があります。
この次回作【Z外伝 サイヤ人絶滅計画】では、今作の『複数エネルギー波』とモーションがほぼ同じ『連続エネルギー波』が登場し、こちらは敵味方共に全体攻撃です。
前作【ZⅡ 激神!フリーザ】でも『拡散エネルギー波』や『爆発波』が全体攻撃として登場しました。
前後3作品の内 “敵側の全体攻撃” がないのは今作だけなのです。
(【ZⅠ 強襲!サイヤ人】では全体攻撃自体がありませんでした)
今作も、元々 敵の『複数エネルギー波』は全体攻撃する技だったのではないでしょうか。
それが、ゲームバランスを考慮され、仕方なく単体攻撃に変更されたのかと感じました。
(勝手な憶測ですが…)
……このように、今作はなんだかちょっと中途半端な仕上がりになってしまった感が否めません。
もう少しでも原作の話をゲームに詰め込まなければ、というスタッフの苦悩が垣間見えるような気がします。
そのため、スタッフロールが流れることもなく、エンディングを迎えてしまいました…
しかし。
逆を言うのなら、こうした仕上がりになったのは
「DBの連載が続いていた頃の特有の現象」
と言えるかもしれません。
アニメDBZは、引き延ばしが多いことで有名です。
が、それは原作にストーリーが追いついてしまったため、原作の話を引き伸ばしたり、オリジナルストーリーを入れたりと、当時のアニメスタッフが試行錯誤してきたわけです。
今作のゲームも同じだったように感じます。
アニメも、ゲームも、当時の鳥山先生の連載と共に歩んできたのです。
そう考えると、感慨深いものが胸にこみ上げてくるのではないでしょうか…。
今作は 、
「DBらしいスピード感あふれるバトル」
「Z戦士みんなの魅力を上手く引き出しているキャラ個性」
「歴代で培われてきたカードRPGシステムの昇華」
と、キャラゲーとして素晴らしい要素をもった作品だと思います。
歴代のDBゲームが、今なお 世界的に続くDB人気の一翼を担ってきたのは間違いないと思います。
今後のストーリーがどうなるかなんて誰にもわからない――
DBの終わりなんて全く想像できない――
そんな頃の、リアルタイムでワクワクしていた子供時代を、想い出させてくれる作品でした…。
さて、次回はせっかくなので現代の技術を使い、神の力(チート)を使って楽しみたいと思います。
<キャラクターズファイル>
ピッコロ(神と融合)
流派【 魔 界 神 】
ピッコロと神様が融合した姿。新生ピッコロとも称され、悟空には「神コロさま」と呼ばれた。基本ベースはピッコロのまま。
大昔のナメック星の異常気象の際、地球にやってきたナメック星人の子どもで、本名は不明(親の名はカタッツ)。神と大魔王は元々一人であり、地球の神になるために わずかに分離させた悪の心が のちの大魔王となった。現在のピッコロの父に当たる。
龍族の天才児であったが、分離したことでパワーは半減。現在のピッコロが大きく力を伸ばしていたこともあり、再び融合した際には超サイヤ人もこえる強さを身につけた。融合すると、神の下界を見る力は失われるとピッコロは言っていたが、融合した後も下界を見られるよう。
融合後は元神の影響か、性格は一層穏やかになり仲間と共に地球を守ろうとする思いも強くなったようだ。
クリリンはこのピッコロを「超ナメック星人」と称した。劇場版【 超サイヤ人だ孫悟空 】には、純粋悪のナメック星人スラッグが登場し、こちらも界王様が「超ナメック星人」と称している。
善の超ナメック星人、悪の超ナメック星人といえるかもしれない。
〈ゲームでの性能〉
外見やステータスに一切変化がない。
対戦するセルが弱く設定されているため、相対的に新生ピッコロが強く表現されているようだ。
人造人間 セル
流派【 造 】
ドクター・ゲロの生み出した人造人間。武道の達人たちの細胞を集めて新たな生物を産み出す研究が元になっており、悟空・ベジータ・ピッコロ・フリーザ・コルド大王の細胞を持つ。
トランクスの時代とは異なる23年後の未来からやってきた。その時代のトランクスを殺し、タイムマシンを奪って現代へ来る。体の大きさからそのままではタイムマシンに乗れず、卵まで戻った。現代のセルの幼体は、クリリンとトランクスによって破壊された。
尾から生物のエキスを吸収することができ、力を大きく増していく。何万人もの人間のエキスを吸収したことで、17号・新生ピッコロを大きく超え、16号と互角の強さとなった。
特殊生命体の17号・18号を吸収することで完全体となる。17号は、16号をゼロから造り出す技術があったのに、なぜ自分たちは人間ベースで造られたのか疑問に思っていたが、セルが完全体となるためのエサとして造られたよう。
未来に還ったトランクスの時間軸では、タイムマシンを奪おうとした所を返り討ちにされた。
〈ゲームでの性能〉
このゲーム最後の敵。まだパワーアップしていないこともあり、とても弱い。
技は『エネルギー波』のみ。だが、そもそも3ターン経過でストーリーが進む接待バトルなので、強さはあまり関係がない。
エンディングの最期では、第二形態のシルエットが浮かび締めとなる。